ラルフ、お主もワルのよお~

 

 

『殺す手紙』ポール・アルテ著 平岡敦訳を読む。

 

密室殺人と名探偵を封印した作品。
ええと、「巻き込まれ型サスペンス」というカテゴリーに含まれるそうな。

 

主人公はラルフ・コンロイ。元英国諜報部員。
ラルフの妻、ジョゼフィーンとは折り合いが悪かった。
その日も妻が彼の承諾を得ずに、
難民となったポーランド人の女性を家で世話することを決め、ラルフは猛反対。

諍いとなり、彼が家を出た直後、ドイツ軍の空襲に遭い、亡くなった。

 

悔やんでも悔やみきれない。終戦後、傷心の日々を送る。

パブで元同僚・友人であるフィリップとジェフと一杯飲ることに。
束の間、気分は晴れるが。

 

翌日、そのフィリップから手紙が届く。
内容は謎めいた依頼だった。彼は依頼のように行動を起こす。

その途中、ある女性の姿を見かける、何を隠そう、ジョゼフィーンだった。

 

途中、警官の職質を受けるが、ようやく目的地の家に着く。
不可思議なパーティが催されていた。
主催者は資産家のアーサー卿。
パーティに参加していた資産家ジェイムズ・ペルダー、その娘アンなど。
そこで彼はロビンソンと呼ばれる。

そこで牧師のラッセルが殺される。ラルフは殺人の容疑をかけられる。

迅速に脱出をして真相を探ろうと躍起になる。

実は殺人事件は、アーサー卿の趣味である殺人ゲームだった。

 

ところが、今度はジョゼフィーンの兄・リチャードが殺された。
これはお遊びではなくモノホン。

 

事件を調査中、ジョゼフィーンの不貞を知る。
彼が戦時中、ロンドンに不在だったときだ。その相手がなんと。

彼が見かけたのは本当に亡き妻だったのか。

次々と隠されていたベールが外される。

 

話は目まぐるしく展開するが、とどめはラルフの告解。
ああ、そうきたのね、アルテ先生!
ラルフ、お主もワルのよお~

 

訳者あとがきによると手紙のアイデア

ジーキル博士とハイド氏』に出て来る「ラニョン博士の手記」からだそうだ。
あとは、ケン・フォレットの『針の眼』からも。
ネタバレになるので言えないが、ああそうかと。
ぼくは本ではなく、ドナルド・サザーランド主演の映画版を見たが、良かった。

 

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