開かずの部屋は呪われた部屋か―ツイスト博士、難事件に挑む

 

 

『狂人の部屋』ポール・アルテ著 平岡敦訳を読む。

 

友だち以上恋人未満だったパトリックとポーラ。
こともあろうにフランシスとの結婚を控え、二人で逢うのが最後の日に一線を越える。
そんなシーンからはじまる。

 

古い屋敷ハットン荘。当主のハリス・ソーンは、セイラと結婚してそこを新居にする。
広い屋敷ゆえセイラの両親と新婚の兄夫婦(フランシスとポーラ)も同居することになった。


二階に開かずの部屋があった。19世紀末、ハリスの大叔父ハーヴィーがその部屋に引き籠り一篇の作品を書いた後、突然亡くなった。亡くなったとき、なぜか部屋の絨毯が水で濡れていた。ハリスはそんなタブーを破って書斎として使っていたが、その部屋の窓から転落死してしまう。で、また、部屋の絨毯が水で濡れていた。

 

ハリスの弟・ブライアンは「予言の能力」があるらしい。セイラの兄・フィリップはブライアンの予言通りに馬券を買って、大金を手にする(実は、裏があるのだが)。
彼は大叔父ハーヴィーの部屋に兄が住むことに反対だった。で、兄の死も予言していたと。

 

ハリスの亡き後、当主となったセイラは医師メドウズと婚約する。ハリスの姿が見え隠れするという噂が。その部屋でセイラの兄・フィリップが襲われる。そしてセイラが呪われた部屋で心臓発作を起こして亡くなる。例によって部屋の絨毯は水で濡れていた。


さらにさらにハリスの遺体がお出ましとなる。遺体は死んで間もない状態で。なぜ。

行方不明となったブライアンに嫌疑がかかるが。

 

不思議な事件。ツイスト博士曰く「狂人の部屋」。呪われた部屋なのか。なぜ部屋は濡れていたのか。毎度おなじみツイスト博士とハースト警部が難事件の謎を解く。

 

オカルト風味とラブサスペンス風味が効いた本格ミステリ
最後に意外な真犯人が。お見事!

 

長身痩躯のツイスト博士は、人一倍頭を使うせいか、痩せの大食い。
食いしん坊という意外な一面も知ることができる。

 

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