ようこそ、薔薇の館へ

 

 

皆川博子の辺境薔薇館』を読む。
図書館で予約して借りた本の一冊。翌日から閉館。

皆川博子バラエティブックス、ファンジン。
巻頭に妖美なカラー図版。
短篇や随筆、本人インタビュー。
リスペクトしている作家たちのラブレター、ファンレター。
「私の愛する皆川作品3」
これは、参考になる。
 
皆川博子を読み解くキーワード20」東雅夫
霊媒」というキーワードがほおっと思った。
 

「作者の父―一部略―開業医のかたわら心霊研究に関心を寄せ、
戦後、―一部略―自宅で盛んに降霊会を崔していた時期があった。
そして当時十代の作者は、霊能を認められて(本人は全力で否定しているが)、厭々ながら霊媒役を務めさせられていたのだった」

 

アリ・アスターの映画のようだ。勘繰りすぎか。
 
担当編集者のエピソード談も
作者の人柄がうかがえ楽しい。
何冊かは読んだが、すそ野が広くて。
おっと薔薇に埋もれた館が大きくて、迷子になりそう。
良い館内案内図だ。
 
窓辺から芳醇な薔薇の芳香がする。
虎の敷皮が虎になったり、
いかめしい西洋甲冑が夜な夜な動きだしたり。
包帯を巻いたミイラが歌を歌ったり。
ローマ廃墟風庭園。
朽ちかけた温室には色とりどりの蝶が舞っている。