いきなり夏

 

イギリス怪談集 (河出文庫)

イギリス怪談集 (河出文庫)

  • 発売日: 2019/03/09
  • メディア: 文庫
 

 

 
連休中に坪庭の庭木や草を刈ろうとしたが、
暑さで日延べする。
やるやる詐欺の可能性もあるなあ。
「コロナ助成金」を略して「コロ助」だって。笑える。
 
4月30日の「アフター6ジャンクション」「コロナ禍の日本のラップ特集 feat. Moment Joon」がすげえよかった。日本語のリリック、メッセージが鋭角的に心に刺さる。
radikoで一聴を。
 

『イギリス怪談集』由良君美編を読む。
夏といえば金鳥、怪談といえばイギリス。
 
「編者あとがき」より

「実利・商業・政治・常識の民族であるように見られがちなイギリスが、
その包摂するアイルランドスコットランドウェールズケルト系の
幻想豊かな血を根幹としながら、幻想文学、とくに怪異物語に独特の豊かさを誇っており、強靭な日常性と裏腹に怪奇への強い趣向を持ち続けていることは、人間存在の特異な二重性から見て、むしろ当然のことと言えよう。幻想もオカルトもミステリーも、イギリス文学を除いては、極端に貧しいものとなろう」

 

粒揃いの怪談がズラリ。
読んだものもあるが、訳者が違うと読後感も若干違う。
ちょいと何篇かの感想をまとめるなり。
 
『おーい、若ぇ船乗り!』A.E.コパード著 井出弘之訳
コパード、いまはコッパードと表記するようだが。イカす若い船乗りが
街で見かけた美しい女性に好意を持つ。彼女も船乗りのイケメンぶりにまんざらでもなさそう。
彼は口説こうと話しかけるが、どうもかみ合わない。彼女は自分の正体を打ち明ける。
信じられない船乗り。でも…。怪談といえるが、メルヘンチックというかほのぼのしたものを感じる。
 
『判事の家』B.ストーカー著 由良君美
『ドラキュラ』で知られる作者。学生は閑静な環境で読書や試験勉強をしたいと物件を探す。「後期イギリス・ゴシック・スタイルの」屋敷に一目ぼれする。その屋敷は「判事の家」と呼ばれていた。夜中、ネズミの騒音に悩まされる。それは序の口。ネズミとの大捕物の最中に、現われた男。判事らしい…。
 
『ハリー』R.ティンベリー著 由良君美
作者は「第二次世界大戦後の怪奇幻想小説家とした女流の代表」だそうだ。5歳の女児を養子に迎えた夫婦。よく見ると娘は誰もいないのに楽し気に話をしている。気になって医者に相談するが、埒が明かない。養子を斡旋した先へ現状と伝え詳細な生い立ちを聞く。DVなどの不幸な生い立ち。
いまにもつながる話。皆川博子あたりの短篇が好きな人なら。
 
『上段寝台』F.M.クローフォード著 渡辺喜之訳
「大西洋横断の航海」の船で経験した話。船室には同乗者がいた。男は上段寝台で寝ていた。ところが、男が船内にいないことが判明する。なぜかその部屋に宿泊した人は3度続けて「海に落ちた」ことを知る。
同部屋で夜、灯りが消える。すると上段寝台に何ものかがいる、それは…。