近代オカルティズムを串刺し

 

オカルティズム 非理性のヨーロッパ (講談社選書メチエ)

オカルティズム 非理性のヨーロッパ (講談社選書メチエ)

  • 作者:大野 英士
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/12/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

『オカルティズム 非理性のヨーロッパ』大野英士著を読む。
 
オカルトを「古代から現代まで」串刺しにした「オカルティズム思想史」。
17世紀フランス。「魔女狩りなど悪魔の時代が終焉する」。
「近代」はそこから始まったと作者は述べている。
 
ミシェル・フーコーの「エピステーメー」を引きながら、さらに。
 

「我々が問題とする「オカルティズム」は、―一部略―18世紀末から19世紀初頭、フランス革命がその結果にすぎないと見なせるような「エピステーメーの転換」―一部略―を経ながらも、廃れることはなかった。また、近代のめざましい実証科学の発展にもかかわらず、あるいはそれと相即的に、非理性的なもの、秘教的なものへのある特有なあり方―近代オカルティズム―として復活し、それが現代にまで及んでいるということなのだ。魔術が力を失ったにもかかわらず、オカルティズムが成立する!」

 

気になる表があったので、まんま引用する。
 
表1 様々な超常現象
 
[精神にかかわるもの]
透視(千里眼)、異常な聴覚能力、予言、水晶占い、超能力による治療(ヒーリング)、サイコメトリー(事物からその持ち主に関する情報を読み取る)、トランス(深い催眠状態で霊と交信し、霊に導かれる)、自動筆記・描画
 
[物理的な超能力]
エクトプラズム、テレキネシス(念力)、サイコキネシス(マインド・コントロールによる物体の移動・浮遊)、スピリット・ラップス(様々な叩音の発生)、アポール(霊界よりこの世へ物体を移動させ表出させる)、空中浮遊、霊の物質化、声(霊媒の直接・間接に発する声、かすかな音)、霊光(霊媒から発するあらゆる色・形をした光)、微風(冷たい、暖かい、匂いを伴うなど、霊媒により発生する空気の移動)、楽器の自動演奏、霊による歌唱、テーブルの移動、ウィージャ・ボード(テーブル・ターニング同様の霊との交信)、霊香(花や金属、香水、悪臭など霊現象に伴う匂い)、心霊写真(念写)、電話・ラジオ・テレビ・テープレコーダーなど近代的な機械を通じた霊からのメッセージ
(参考:トッド・J・レナード 『別世界への語りかけ』iUniverse,inc,2005)
 

 

あらら、ゴーストものやホラーもののキーワードがまとめられている。
いままで読んだものや見たものが浮かぶ。
これらにキャラクターの設定、舞台(古都、ニュータウン、港町、鉱山都市など)を選んでAIにお願いすれば、結構よいゴーストものやホラーものが一丁上がりとなるのかな。
 
「終章 神なき時代のオカルティズム」がもの足りない。
と思ったら、諸事情により。だった。
泣く泣く割愛した「オカルティズムをめぐるフロイトユングの関係」や
「ネルヴァル、バルザックボードレールランボーマラルメシュルレアリストなど近代文学者のオカルティズムに対する態度」。
読みたい、読みたい。ぜひ、続篇を願う。