美しすぎてキミが怖い キミが悪い

 

『漆黒の慕情』芦花公園著を読む。

 

『異端の祝祭』の続篇。でもないか。でもそうだろ。

 

美しすぎる塾講師・片山敏彦が主人公。余りにも美青年すぎて女性はもちろん男性から言い寄られる。で、いまも女性のストーカーから薄気味悪い手紙が届く。どこから彼を監視しているのだろう。ところが、こともあろうに彼にストーカー体験者なのだった。

 

ストーカー行為は次第にエスカレート、彼と仲良くしている塾の同僚や教え子たちには、猛烈に嫉妬されてか危険にさらされる。私の敏彦に気安く近寄る者はお仕置きよってなもんで。

 

教え子の美鈴が背の高い女を見たと。ごりごりごりという音がする。彼をストーキングしている女の歯ぎしりらしい。まさかと思ったが、ストーキングしているのは女性の霊。んで面識のある心霊問題を扱っている佐々木事務所を訪ねる。佐々木るみとその助手。青山。


さらに土佐弁で問題を解明したり、人の本心が見える車椅子に乗った天才霊媒師物部が
本作も名脇役ぶりを発揮している。

 

完璧なゴーストバスターズに思えたるみだが、本作では闇の部分を覗かせている。そんなことにはまったく気が付かない能天気な青山。

 

青山は実家の教会で小学生の七菜香から「ハルコさんの話」を聞く。学校の七不思議の今様なもの。都市伝説化と思えたハルコさん。敏彦につきとっている女はハルコさんなのだろうか。

 

頭の中をグルグル撹拌させられながら、作者の術中にはまっていく。

 

ひょっとしたら老いとルッキズムが隠されたテーマかも。って深読みし過ぎか。

アンチエイジングに励んでいる中高年女性。男性もか。でも若返りは、ないだろ、現在の科学では。正しくは若づくり、だよね。ひょっとして作者は、そのあたりも揶揄したかったのだろうか。そう言えば口裂け女も「私、きれい?」って開口一番聞くもんね。

 

ごりごりごり。執拗に出て来る、このオノマトペが、怖さを増量している。

 

人の心には悪魔と天使の両方が棲んでいる。とか、言うじゃない。その好例が敏彦の同僚の佐山。「好青年」の仮面をはがすと、いやはや…。ハルコさんとの意外な関係。

 

美しすぎる塾講師、映像化したら誰がいいだろう。ジャニーズ系か。 中川“畠山重忠”大志推しだけど。同調する?

 

なんか、るみの闇落ちが次回作のテーマとかだったりして。


人気blogランキング