生物多様性 - 「私」から考える進化・遺伝・生態系 (中公新書)
- 作者: 本川達雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/02/24
- メディア: 新書
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生き物は生き延びるために生殖を行う。
で、生殖には「無性生殖と有性生殖がある」。
その違いを作者はこう述べている。
「無性生殖では親の遺伝子がそっくりそのまま子に
伝えられ、よそからおかしな遺伝子が混じる危険は
さけられますし、卵や精子などという特別な細胞を
つくらなくて済むので簡単。―略―リスクもコスト
も少なくて済むのです」
無精卵と有精卵を思い浮べる。
無精卵をもっぱらぼくたちは食べているわけだが。
「なぜ有性生殖というしちめんどうくさいことを
生物はやるのでしょう」
快楽は種の保存のためのトラップ、それとも、
ごほうびなのか。
「今の私は、今いる環境に適応して生きています。
私とまったく同じコピーをつくれば、それもやはり今の
環境の中で上手に生きていけるでしょう。ところが環境は
時間とともに変化するのです」
その変化に対応できるようあらかじめ用意しておく。
それが有性生殖だと。
「有性生殖(性を伴う遺伝)とは、変わる環境の中でも
ずっと続いていけるための仕掛けなのです。
実際、変異に富む種は均質な種に比べて絶滅しにくいと
言われています」
恐竜は滅んで人は生き延びた。
いいとこどりはないのか。
ミジンコは、有性生殖と無性生殖を使い分けているそうだ。
人工授精は無性生殖だよね。
村田沙耶香の『消滅世界』につながる。
いわゆる〈私の問題>について。
「「我思う」においては、多様性は我が選ぶメニューの中の
多様性だけであり、それは好き嫌いの問題でしかなくなります。
―略―好きでない者は自分の世界から排除してしまいます(これは
すでにインターネットの中では実現されていますね)」
はは。キュレーターとかキュレ―ションとか。
「嫌いなものたちとも付き合うという姿勢がなければ生物多様性は
守れません」
ともすると説教に感じられるかもしれないが、
普遍的な考えだと思う。
宗教、民族、はたまた異星人まで。