アンファン・テリブル

『夜になっても遊びつづけろ』金井美恵子著を読む。
金井美恵子エッセイ・コレクション』全4巻の1。
自薦のベストエッセイ集。ミュージシャンならベストアルバム。
あらかた読んでいた気がするが、通して読むと、実に楽しい。
にしても金井美恵子、若い時から物事の捉え方と
ツンデレならぬツンツンぶり、
言えて妙の毒舌ぶりが変わっていないのには驚く。
「16歳の時の『美術手帖』」への投稿が掲載されているが、
アンファン・テリブルといってもいいだろう。
これはインディーズ時代とか、デモテープとか、かな。
たとえば『がきデカ』が連載終了したことについて書かれたものは、
短い文字数ながら、優れた山上たつひこ論になっている。

著者の小説や詩作は、岩波ホールにかかる映画を見るような
心持でのぞんでいたが、
エッセイは、作者の芸を満喫するって感じ。
篠山紀信が撮った「著者23歳」の写真は、はっとさせられる。
若くして作家デビューした作者は、
芸歴が実年齢に近い子役あがりの俳優を想像してしまう。

中島京子が編集者時代、
金井にエッセーを依頼したボーナストラック代わりのエッセイも楽しい。

朝の電車 斎場のよう ダークスーツの男たち  ナフタリンと線香のにおい

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