『迷宮遊覧飛行』山尾悠子著を読む。
作者を知ったのは、分厚い『山尾悠子作品集成』だった。この本は自身による山尾悠子ヴァラエティブックといってもよいだろう。
20代のデビュー当時から20数年に及ぶ休筆時代を経ての復帰後のエッセイ集。というか単行本未収録のものが読めるのは貴重。
影響を受けた好きな作家、画家などを挙げており、硬質な幻想的な数々の作品を書いた背景というか、素材を知ることができる。
〇倉橋由美子、金井美恵子
作者と同世代だが、確かにジャズ喫茶で倉橋由美子を読むのはトレンドだったかも。倉橋作品を再読するのも意外な発見があってよいかもしれない。ただなあ、文庫本は引越しで処分しちまった。金井美恵子。『愛の生活』を読んだときの衝撃。
全4巻の解説は、参考になる。卒論が泉鏡花だったそうな。でリスペクトする選者の澁澤。泉鏡花は虫食いで読んでいる。読んだうちには入らないくらいの読書量だが。
〇掌篇小説『幻獣コレクション』
つきあいのあったまりの・るうにいやデルヴォー、ルドン、ピラネージなど作者の好きな絵とコラボレーションした絵本が見たいと思った。
〇「アンドロギュヌスの夢 ル・グィン」
ル・グィンの『闇の左手』に流れている、バルザックの『セラフィータ』。キーワードは「アンドロギュヌス」。これは稀少な女性SF作家(?)としてデビューした頃に書かれたもの。
〇「円盤状の虫」
前半は学生時代のジャズ喫茶のことが書かれ、後半は「高信太郎のオールナイトニッポン」の「夢コーナー」に投稿、すべて採用されたという話。意外というか、当然というか。
などなど読みたい本、眺めたい本がてんこ盛り。
行きつけの図書館に「『迷宮遊覧飛行』山尾悠子著でおすすめの本」というマンスリー企画の提案でもしようかな。
あ、ラブクラフトは好きくないって。