劇画暮らし

劇画暮らし

近所でいちばん先に咲く桜は
中学校の入口の正面にあるのだが、一分咲きぐらいか。
入学式まで桜が今年は持つようだ。
妻と朝、三春の枝垂れ桜の話が出た。
いつもは貸切バスが何台も出て賑わっているが、
今年、見に行くのは地元の人ばっかで空いているだろうと。


『劇画暮らし』辰巳ヨシヒロ著を読む。
「劇画」の命名者とマンガ業界に燦然と輝く著者の自伝。
実兄が桜井昌一。NHK朝の連ドラ『ゲゲゲの女房』で
梶原善が演じていた役のモデル。
幼い頃より絵を描くのが好きで、優秀だが病弱な兄の感化も
大きかったのだろう。
中学生の頃より投稿で小遣いを稼ぐ。
で、新聞社経由で手塚治虫と会う。
アンチ手塚、アンチ(ストーリー)マンガだと思われる劇画も
元を辿れば、やはり手塚なのか。


美術大学進学を目指すが、父親が詐欺に遭い、家計は貧窮。
喰っていくために本格的にプロの漫画家となる。
創作のネタや苦しみ、当時の原稿料や印税などが克明に記載されている。
貸本マンガを書く中で、新しいマンガ、劇画への形式が確立されていく。
出版社、編集者、漫画家たちなど、みな個性的なメンツとの交流は人間模様。
売れる−売れないの波をなんとか乗り越える。
後年水木しげるのリメーク版鬼太郎に参加したり、
マンガ店も経営するなど、
フットワークが軽く、過去の栄光のこだわりなどないようだ。
ユーモアをまじえた文章は、なかなかうまい。
この本を読む限り、辰巳作品は日本よりも海外での評価が高い。


人気blogランキングへ