バラバラでいっしょ


『複雑系の哲学』小林道憲著 読書メモ

「多でありながら一であり、一でありながら多である。多なる一であり、一なる多である。
一の中の多、他の中の一、それが実在の原理である。全体的一と個別的多は相即する。
あらゆるものは多様性に満ち、差異性に満ちているが、同時に一体でもある。
存在は、多様性における統一性であり、統一性における多様性でもある」

即ち、それは「地球生態系」であり、宇宙であると作者は述べている。
さらに、「ライプ二ッツのモナドロジー」にも通底し、「「一即一切」を説く華厳哲学」にも。
ミクロコスモス=マクロコスモスでもあるし、「部分=全体」である。
『生物と無生物のあいだ』福岡伸一著に出て来る
「内部の内部は外部である」にもほぼ通じることである。
「世界はネットワーク構造」、すべてつながっているのだと。
バラバラでいっしょってことで。

「世界が階層性をもつのも、そのことによる。ネットワークが、次々と新しいネットワークを
創発し、それを積み重ねていくことによって、階層分化が生じ、それに応じて機能分化も
生まれる」

「世界は、相互作用を繰り返し、幾重もの階層を形成しながら、より複雑な方向に
生成発展してきたのである」

「存在するとは、このような世界の自己形成の一瞬の軌跡に参加することなのである」

おこがましくも補足させていただくならば、たぶん、それはスモールワールド・ネットワークであり、
驚くほどシンプルでおどろくほど迅速に為される。「複雑系」という名前に似合わず。

スモール・ワールド現象 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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