ダーウィンから

種の起源〈上〉 (光文社古典新訳文庫)

種の起源〈上〉 (光文社古典新訳文庫)

種の起源〈下〉 (光文社古典新訳文庫)

種の起源〈下〉 (光文社古典新訳文庫)


種の起源ダーウィン渡辺政隆訳・解説を読んだ。
たぶん訳がよいのだろう、もちろん解説も。
新鮮だった。

時おり寺田寅彦のエセーかと思えたり、
ドーキンスの一文かと思えたり。

ナチュラリストダーウィンは、自然を見る人だ。
ともかく見る、観察する、実験する、観察する。
そこから推察する。
ビーグル号で世界の動植物や地質などを見たことが
種の起源』の中身を深めることになったのだろう。

進化論はある意味、種の系統樹化、タグ付けで。

 

「過去から現在までに存在したすべての生物は階層をなすグループに
属し、絶滅したグループは現生するグループのあいだに収まる場合が
多いというかたいで一つの壮大な自然の体系が構成されている。
この事実は、すでに見てきたとおり、自然淘汰が作用することで
絶滅と形質の分岐が起きるという学説によって説明できる」


自然淘汰、適者生存。どうも進化というと、
いいものだけが残る。みたいな印象が強いが、
そのときの環境にうまく対応できて圧倒的に多量の種であることだそうで
引用個所、発見できず。
それが優秀かどうかは別な話らしい。
具体例。人間を見ればわかるよね。
万物の霊長などと奢っているが。

「あらゆる生物のほんとうの類縁関係は、遺伝すなわち由来の
共通性によるものである。自然分類とは系図的な配列であり、それに
よって、生きていく上での価値はいかに低くても、最も永続的な形質に
よって系統的な由来を見出さなければならないものなのだ。
ヒトの手、コウモリの翼、イルカの胸鰭、ウマの脚を構成する骨が同じ
ことや、キリンとゾウの頸椎がいずれも同じ数の椎骨でできているなど、
そうした数え切れないほどの事実は、わずかづつゆっくりと生じた変更を
伴う由来説でただちに説明がついてしまう」

 

生物の進化の仕分けを試みた壮大なスケールの本だと思う。
そのおおもとに神は存在していないし。
そりゃ、発刊するのをビビッたわけだ。

訳者の解説から引用。

ダーウィンは、なぜかくも多様な生物がいるのかという
問いから出発した。そしてたどり着いた答が、「変化を伴う
由来」であり「分岐の原理」だった。すなわち生物は、少しづつ
変化しながら枝分かれをしてきた。その結果が、現在の生物の
多様性だというのである」


「その結論が正しかったことは、今やますます証明されつつある。
遺伝の仕組みもわかっていなかった時代にこれほどの先見の明を
示したことは、まさに驚異である。その原点が『種の起源』である」

 


古代ハスってご存じ?縄文時代の一粒のハスの実から
およそ2000年を越えて花が咲いたように
生存にかける種の保存は、すさまじい。

ダーウィンはこう述べている。

「そうした(生存をかけた)闘争について考えると悲嘆したくなる
かもしれないが、慰めもなくはない。自然の闘いは絶え間なく続くわけ
ではなく、一般に死は即座に訪れるもので、恐れは感じないし、頑健で
健康で運のよい個体が生き残って繁殖するのだと固く信じれば慰めも
あるというものだ」

 

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