解体される家


路地で長らく空き家となっていた家が
壊されることになった。

越してきた時は、
リタイアした爺さんがいた。
決まって昼間、缶ビールを道でつぶす音がした。
まもなく手遅れの癌で亡くなった。
それからは、おばさんが一人で暮らしていた。
内海桂子に似ていたおばさんも、
やがて入退院を繰り返すようになって
亡くなった。
子どもは遠方に住んでいるとか。

狭い私道。
まずは、内部からかかる。
次に、電線をはずす。
足場を組み立て、シートをかぶせる。
手作業で屋根を壊す。
洗濯物を取り込みにベランダに出たら、
バングラデシュかパキスタン
インドの人らしき人が、一人で作業にかかっていた。
翌日か翌々日、人員が増えていた。
近所のおばばが、作業日程を彼らに聞いていたが、
日本語は通じなさそうだ。
昼はカレー弁当とかじゃなくて近くのファミレスに行くのだろうか。
空き家は、魚を食べるのが上手な人のように、
次第に躯体、骨が見えてくる。
ある程度、スペースができたら、重機の登場。
バングラデシュチームは、お役御免となったようだ。
田舎の一軒家だったら、一気に壊すのだろうが。

ぼくの親の家も、こんなふうに解体されたのだろう。
ただ除染作業があるのが大きな違いだが。
親の家というか地所は、浜通りの人に買われたそうだ。

今日がピークかもしれない。
揺れる家。けたたましい音。
委細構わず、惰眠を貪る猫。

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