今月の『100分de名著』が、『千の顔をもつ英雄 新訳版』上下ジョーゼフ・キャンベル著。以前、書いたレビューを再録。
『千の顔をもつ英雄 新訳版』上下ジョーゼフ・キャンベル著 倉田真木、斎藤静代、関根光宏訳を読んだ。簡単な感想などを。
この本は映画『スター・ウォーズ』にも影響を与えたそうだ。よくわかる。画像の円環図、Powerpointで作成したが、これは結構万能方式じゃないだろうか。見にくかったらご容赦を。
キャラクターを設定したら、この図に準じてストーリーを展開していく。
「英雄が勝利をおさめ、神や女神から祝福され、ついで社会を再建するための霊薬を携えて元の世界に帰還する使命をはっきり示された場合、英雄の冒険の最終段階は超自然的な庇護者のあらゆる助けを得ることになる。一方、戦利品が番人から力ずくで奪い取ったものの場合や、元の世界に帰りたいという英雄の望みを神や悪魔が快く思わない場合、神話の結末は多くの場合、笑いを誘う逃走劇となる 」
「逃走劇」の面白さ。たとえば『指輪物語』の指輪をめぐる騒動。
「心理学から形而上学へ」
ここは引用しにくいので、かいつまんで。形而上学から心理学が生まれたが、心理学ですべてがわかるわけでもないだろう。わかりすぎるものは、何やらあやしい。明朗会計とかいってちっとも明朗じゃないように。ゆえに、ベクトルを逆向きにして形而上学にあたるのが、よいのではと。
「現代では、神話は次のように解釈される。自然現象を説明しようとする未開の不器用な試み(フレイザー)。先史時代から受け継がれた詩的空想の所産であり、後代に意味を取り違えられたもの(ミュラー)。個人を集団に適応させるために使われる寓意的教えの貯蔵庫(デュルケーム)。心の深層にある衝動の元型を示す一群の夢(ユング)。人間の深遠な知的洞察を運ぶ媒体(クーマラスワミー)。神の子たる信徒に対する神の啓示(キリスト教)」
この部分も「心理学から形而上学へ」の概念とカブる。
小説が古くてゲームやアニメーションが新しいのか。ソフトが変わっても、ぼくたちは神話のフォーマットを変わることなく楽しみとして消費している。