『ユークリッドの窓 平行線から超空間にいたる幾何学の物語』レナード・ムロディナウ著 青木 薫訳をつらつら読む。
小説が続くと、カタい本が読みたくなるのは、どういうわけだ。数学史だけど、業績のあった才人たちにスポットをあてた本。ひょっとして哲学や数学、物理学、そのものよりもそれぞれ、哲学史、数学史、物理学史に興味があるんじゃなかろうか。
「幾何学の創始者ユークリッドから座標を発明し、代数学と幾何学を結びつけたデカルト、非ユークリッド幾何学を提唱したガウス、相対性理論のアインシュタインからひも理論のウィッテンまで」その流れがさくっとつかめる。
とりわけデカルトの生涯が目からウロコ。生まれつき虚弱体質だったが、見分を広めるために兵士となる。数学の先達である「ギリシャの幾何学にはうんざり」していて、
きわめて簡潔な、独創的な理論「解析幾何学」を考え、いうなれば新人類ぶりを発揮していたそうな。
「教会を刺激しないように」デビュー作を作を40歳過ぎにこっそり発刊した。それが『方法叙説』。
38歳のとき、娘が生まれが、娘は2年後に亡くなる。落胆したデカルトが娘のように女の子の人形を愛でるのは、この直後か。そして時の「スウェーデン女王クリスティナ」の王宮に招かれる。女王の庇護の下、新たな理論の構築でもしようと思ったが、寒さに辟易。肺炎にかかり逝去する。「娘が亡くなった10年後」の1650年に。
北へ行く。そこには、南へ行くこととは違った意味があるのだろう。確か、ウィトゲンシュタインも「ノルウェーの山小屋に隠遁」しながら、『論考』を練っていたし。
仕事でスイス・ダヴォスの資料をネットで調べていたら、「トーマス・マンの『魔の山』の舞台となったサナトリウムのある町」っていうのが目についた。ま、旅行パンフレットじゃNG情報かもしれないが。
なぜか『魔の山』は、中学のときの校内読書感想文コンテストの賞品だった。先生が受賞者の好みに合わせて選んだとのことだが、これもスイスアルプス、北だよな。
ベルイマンの映画のあの重々しさ、なんか服をいっぱい着込んでいる印象は北だよ。
と、脱線しつつ、レビュー、おしまい。