『アルジャーノンに花束を[新版]』ダニエル・キイス著 小尾芙佐訳を読む。
ぼくわ、ようやく、この本およみました。
ネズミのアルジャーノンがとてもかわいいとおもいました。
男の子は、脳のしじつをうけておつむがよくなりました。
ぼくわ、しじつはいたいのでいやれす。
いまやSFの古典的名作となった本作。大人なのに子ども並みの知能しかない主人公は、脳外科手術により知能を奇跡的に回復する。いや回復する以上に急速に明晰な頭脳に変貌を遂げていく。賢くなるにつれ、いままでの勤務先のベーカーリーショップからはスポイルされはじめ、研究所の女性とも関係がギクシャクし始める。もっとも、いちばんメン食らっているのは、当の本人なのだが。
彼に施された手術は、彼のためになったのだろうか。実験用に飼われ、さまざまなテストをされていたアルジャーノンと何ら変わりないのではないだろうか。賢くなった彼は、当然、スタッフを責める、なじる、そしる。
最近、ITの次はヒトゲノムだなんて騒がれている。臓器移植、クローン、ES細胞とか、かなり現実化、どころか産業化しつつあるようだし。確かに、凡百のSFやホラー小説では、現実に負けてしまうだろう。そんなご時世に本作を読んでみると、また別な側面で新たな発見や感銘が得られた。何かまるでノンフィクションでも読んでいるような気分になってしまった。
自分の人生でさえ、自分の思うままに、主役を演じられないなんて。人間の普遍的なテーマを扱っているから、色あせることなく、ロングセラーになっているのだろう。と、切なくため息。
しやわせってなんなんだろう。
またぼくわまえのようにアタマの中が
もやもやとしてきたれす。