不滅の「構造主義の言語学」

 

 

ソシュール言語学 コトバはなぜ通じるのか』町田健著を読む。

 

ソシュール言語学というと「難解」が枕詞だけど。
本作はソシュールから始まった「構造主義言語学」の流れが
わかりやすく書かれている。
それと、コトバの果たす役割を改めて知ることができる。

 

以下メモ。

 

「事物が体系を作り、事物の性質が体系に含まれる他の要素との関係で決まってくるという考え方は、単語の意味だけではなくて、社会制度でも建築物でも、さらには人体を作っている諸器官についても、広く適用できる一般的なものです。つまり『関係性』という性質は、事物一般の性質を見極める際には非常に有効な手段だったというわけです。」

 

「構造」は「体系」と近似値であるとも。

ゆえに構造主義は不滅であると。
構造主義というコトバは古びてしまったが、その概念は古びていない。

本なら新訳とか新版とか、音楽ならデジタルリマスターとかそういうことかな。

 

言語学は「公理から出発して定理を証明し」、それをリフレインしていく
「演繹」ではなく「帰納」であり、それは「関係性」であると。ふむふむ。

 

「コトバは経済的にできている」の章は大いにナットクした。

たとえば昨今流行の「韓流」。このコトバがなければ、
「『冬ソナ』がきっかけとなって、韓国ドラマ、韓国の俳優、歌手が日本、
特に中高年女性に人気を集め、ビデオ、CD、DVDはもとより、
韓国『冬ソナ』ツァーなど一大ブームを巻き起こしている」などと
いちいち説明しなければならないわけで。

 

ソシュールのいう「コトバは形相であって実質ではない」。
それは「コトバが意味を表す記号である限りは、実質ではないというのは
当然のことだ」と。


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