メラメラ

階段を下りる女 (新潮クレスト・ブックス)

階段を下りる女 (新潮クレスト・ブックス)


午前11時に花火の音が。
ああ、世田谷ボロ市か。

『階段を下りる女』ベルンハルト・シュリンク著 松永美穂訳を読む。
『朗読者』以来かも。
主人公は初老の弁護士。偶然、一枚の絵と再会する。
若かりし頃、男はその絵のモデルの女に恋をした。
彼女の言われるままに絵を盗むサポートをするが、
絵と共に彼女は姿をくらます。
彼女は猫系女子の典型。
男は価値観の似た女性と結婚する。
仕事も順調。子どもはイギリス留学体験後、独立。
妻に先立たれたのは、予想外だったが。

その絵を目にしたとたん、
封印していた彼女への思いがとかれる。
燻ぶり続けていた恋の炎が再燃する。
一方的にね。

探偵事務所に彼女の行方を依頼するほど、
再会を望む。
やがて叶うこととなる。

「40年」の歳月の重み。
変わらないところ、変わったところ。

最初、「休火山の恋」というタイトルを考えた。
いま、死火山、休火山、活火山という区分けはしてないそうなので
ボツにした。

猫科の彼女は病に侵されていた。
猫のように死にざまを見せずに消えていく。
安い難病ものにはしない。
ロマネ・コンティを飲んでマッパで心中とか
そういう結末はあり得ない。
「人生を下りる女」じゃ、ネタバレかな。
ジャズで例えるならビル・エヴァンスのように、
端正な作品。

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