じめじめくるくる

天気は、じめじめ。
髪は、くるくる。

『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』春日太一著を読む。
著者が東映京都撮影所関係者へのインタビューにより
遅れて来た映画会社東映のこれまでの歩みを見事なまでに
東映京都撮影所のインサイドから栄枯盛衰を描いている。
様式美の時代劇は、映画マニアではなくブルーカラーの兄ちゃんの娯楽として、
つくられたそうだ。黒澤明映画の台頭により、時代劇はリアルなものへ。
やがてヤクザ映画も伝統的な任侠ものから『仁義なき戦い』へ。
ショーバイとしてピンク映画―お世話になりました―や喜劇映画も。

刑事が反社会的勢力の人を連行している映像をニュースで見ると、
どちらがどちらかわからないことがままあるが、
ここでも役者と反社会的勢力の人が判別しにくいというか、
ロケをしていたら、通報されてしまった。
ほんまもん以上にほんまもんらしいという話に頷く。

歌は世につれ。というが、映画も世につれ、だ。
東映映画を支えた俳優、監督、脚本家、スタッフなど当時の現場の熱気が伝わる。
大御所から大部屋の役者まで。
東大を出た助監督が中卒のスタッフにどやされる世界は、
民主的でもあるが、最盛期の製作スケジュールの物凄さは、
過労死した人などいなかったのだろうか。
映画が好きという情熱で動いているのだから、ブラック企業じゃない。
どう思いますか。

人材を人財と書くこともあるが、東映京都撮影所はまさに人財の宝庫。
そして蓄積されたナレッジがいまのテレビの時代劇などを支えている。
東映太秦映画村』のヒットは、瓢箪から駒だったらしいが。

社長・プロデューサーとして辣腕を振るった岡田茂のエピソードは、
おじさん好みのいい話。
後を継いだのが岡田裕介
映画版『赤頭巾ちゃん気をつけて』で薫君を演じていた。
映画も映画会社も世につれ、だ。

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