- 作者: 小林信彦
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/09/25
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (26件) を見る
「バラカン・モーニング」を聞き流す朝。
図書館から『横溝正史読本』小林信彦編を借りて読む。
まったくこの本を知らなかった。
ロングインタビューというよりもロング対談。
完全ノーカット版って風。
いやはや、その濃密なこと。
作家同士ということもあるが、
横溝は『新青年』元編集長、小林は『ヒッチコックマガジン』元編集長と
その時代のユースカルチャーに影響を及ぼした
元編集長同士という面も、面白い。
『新青年』→『ヒッチコックマガジン』→『平凡パンチ』
→『POPEYE』『BRUTUS』という流れだろうか。
個人的には小泉徹編集長時代の『宝島』も入れたいけど。
寝食を忘れて、ウソ。仕事をうっちゃて、おいおい、貪り読む。
○横溝正史作品創作の秘密
金田一耕助誕生秘話か。
本格推理小説を書きたい人なら、読むべし。
○横溝正史作品が生まれた時代
○『新青年』の版元博文館が、当時は全盛だったこと。
講談社は、まだベンチャー企業だった。
今は日記で知られる博文館だけど。
○日本の探偵小説における「カー、クリスティ」など
英米のミステリー作家たちの当時の評価と自作への本歌取り、
換骨奪胎ぶり
○ロング対談のほか、「エッセイ、作品評、日記、年譜」と
至れり尽くせり。
中でも江戸川乱歩の「本陣殺人事件を評す」は、いい。
「あとがきにかえて」で小林は
「「ヒッチコック/トリュフォ」という名対談を模して、
遠く及ばずというところか」
と謙遜しているが、なかなか、実に。
晶文社のかつての「バラエティ・ブック」にも通じる。