往古来今

往古来今

往古来今

しばらく通ってなかった道を通る。
更地を目にする。
以前どんな建物が立っていたのか、思い出せない。
ここだけではない。
更地になることは、家や界隈の歴史や風景の喪失、
あるいはリセットだ。


Googleストリートビューの撮影車が、
昨日も今日も近くの駐車場にとまっていた。
派手なカラーリング。
週末、恋人の部屋にでも訪ねて来たのだろうか。
目立つぜ。


こんな風に思ったのは、『往古来今』磯崎憲一郎著を読んだからだろう。
5つの連作。どこから読んでもいい。
それぞれの話が関連していると言えばいえるし、
していないと言えばそうとも言える。
短編なのだが、書かれている世界は広く、深く、重たい。
間口は狭いが、奥行きがある京町家。
もしくは裏庭まであるイギリスのテラスハウスのような小説。
読み終えると、横尾忠則の装画が
理解を促してくれる。


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