仕事の資料本を図書館から借りる。
その最中にパンツのポケットに入れておいたケータイが
ブルブルと震える。妹からだった。
やはり、母の具合が芳しくない。
母が意識のあるうちに会えないかと。
モルヒネの投与量が倍になって、カテーテル。
抗癌剤は、つらくて拒否したそうだ。
ホスピスの手配とかも。
ゆるやかに衰えてはきていたが、ついに最終段階か。
妻が今週末に二度目の見舞いに行くが、
ぼくは一度も行っていない。
正直、逃げていたかもしれない。
老いた両親を直視することに。
面倒なことは、妹夫婦に任せていた。
こっちはこっちで大変なんだからと言い訳しながら。
腹をくくってネットで高速バスを予約する。
新幹線の方が断然速いが、新幹線の片道の料金で
バスなら往復料金。
両親は昭和一桁世代。
夫が圧倒的に威張っている世代で、
妻は堪え忍んでいたのだろう、きっと。
母働いていた時期もあったが、専業主婦の方が長く、
公務員につきものの急な転勤にもいやな顔をせずに、ついていった。
単身赴任はさせない宣言を聞いたこともある。
ただ退職後になると、何かにつけ束縛がストレスになったようだ。
子どもの七五三の祝いに招待したのに、そそくさと日帰りで帰った。
借りてきた資料本を読む。ポストイットする。
原稿として使う部分を、タイプする。
ギョーカイのけもの道、紹介ルートで新規の仕事。
週明けに打ち合わせ。ありがたい。