次世代マーケティングリサーチ

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次世代マーケティングリサーチ

『次世代マーケティングリサーチ』萩原雅之著を読む。

以下引用と感想メモ。

「宝島社の女性誌がなぜ一人勝ちしたかといえば、ライバルを
同じ雑誌ではなく、嗜好品、つまりコンビニコスメやカフェラテだと
考えたからだ。魅力的な付録はその仕掛けのひとつである。
結果的にこれまで雑誌を手に取らなかった女の子たちの関心を
集めることに成功した」

従来は同業他社製品の同一マーケットを考えていればよかったが、
現在は、消費者の好きなもの全体を見ないといけなくなった。
異種格闘技みたいなものだろう。
たとえば柔道の選手が、組んでかかろうとすると、
いきなりハイキックされるようでは、困るぞと。

最も如実な例がアプリだろう。
ゲームも音楽も電子書籍などさまざまなソフトが
いっしょくたにアプリで括られる。
電子書籍は、既存の本好き層じゃなくて本を読まない層を
ターゲットにしたはずなのに、
冒頭引用した宝島社の女性誌のように成功はまだしていないようだ。
そうか、食玩のパターンか。
中身じゃなくておまけで釣ると。

「広告がラブレターに代表されるアプローチ技術なら、
マーケティングリサーチは相手に目を凝らし(観察)、耳を澄まし(傾聴)、
気持ちを理解する(洞察)ための技術ということになる」

経験知が高くなればなるほど、自分のリサーチスタイルで捌こうとしがちだが、
そうじゃなくてリセットしてからかかる。できるようで、なかなかできない。
それは、どういうことか。

「集団の特性を数字で定量的に理解するだけではなく、
ひとりの人間のリアリティを想像し、大切にする」

単純に定性的ってこととも、ちと違うようだ。
数値、データじゃなくて、もっとパーソナルにってことか。

「消費者はあなたの役に立ちたいと思っている」

でなければクックパッドなどに
自分のレシピを投稿したりはしないだろう。

「消費者とコミュニケーションするには、
企業も遠くから消費者にメッセージを投げかけるというよりは、
自分から消費者に近づき素性をさらけだして距離を縮める方がいい」

デプスインタビューとかいわれると、なにか新しいことのように思えるが、
これって消費者をインタビュイー、企業をインタビュアーの置き換えると
なんのこたあない、ライターや記者なら取材と同じ方法論だよなあ。
緊張している相手をなごませるには、まず自分のことを話してから。
というのは、よく使う手だし。でもそこから先の煮詰め方が異なるか。

「消費者と」の「コミュニケーション」。
そこにはヒントや答えなどが埋もれている、まさに金の鉱脈なのだ。

マーケター限定じゃなくて、クリエイターにも、
会社員にも、記載されているリサーチの心構えとノウハウは、
ためになる。


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