- 作者: 小松左京
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2008/02
- メディア: 単行本
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『小松左京自伝』小松左京著を読む。
第一部が自伝で第二部が自作についてインタビュー形式で語っている。
紛れもなく知の巨人の一人だと思うが、
本業の小説では出自がSF作家ゆえの悲哀を味わう。
筒井康隆の名言「士農工商犬SF」を思い出した。
マンガを発表していたのは知っていたが、プロ級だったとは。
アニメーション映画に進んでいたら、どうなっていただろう。
親友と呼んでもいい高橋和巳とは、陰と陽の関係だったらしい。
当初は自伝だけ読みたかったんだけど、第二部もいい。
第二部は、SFというよりもエンターテイメント小説を書きたい人には必読かも。
自分の書きたいものを、いかに読んでもらえるものにするか。
そのメソッドが語られている。
ともかく陽の目を浴びたいのなら層の薄いところ、敵が少ない分野、
いまでいうところのブルーオーシャン戦略でいけばいいと。
とはいうものの小松左京と星新一は自慢じゃないがこれまで読んだことがない。
ジュブナイルあたりから読んでみようか。
開高健の『日本三文オペラ』と同じ題材の『日本アパッチ族』でもいいかな。
引用一箇所。
「−「進化管理」の概念にマルキシズムでいう「歴史的必然」は含まれていますか。
小松 それはあるな。つまり自然が進化管理してるわけだろ。
そこでは人間のやさしさや美意識は関係ないんだと。ところがそれが歴史に来て
人種差別に根拠を与えるし、人類はヨーロッパが一番進化しているというのが
ヘーゲルでありマルクスなんだ。」
サイードじゃん。
画像は、『都市漁村交流推進会議 in 東京 〜海が育むこどもたち〜』報告書の表紙。毎年、原稿をまとめているが、Webサイトにアップされていた。宣伝。
コピーライターの大御所、土屋耕一(敬称略)が亡くなられたことを知る。
伊勢丹、資生堂の広告などをお手本にして、ノートに書き写しては、
日本語のリズムの良さ、メッセージをいかにシンプルに品よくまとめるか、勉強させていただいた。
友人が一時期アシスタント的なことをしていて(土屋先生は弟子を取らないことで有名)、
事務所のネーミングが確か土屋先生だと思った。合掌。