宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』を見た。久しぶりの映画館。
見た人の評価はsnsなどでは賛否両論。ネタバレしないでこの作品の魅力を伝えるのは多少骨かも。
一言でいうなら、私小説というカテゴリーがあるが、私アニメーション。
しかし、そこには過剰なまでのエンタメが盛り込まれている。
大きなスクリーンに描かれる美しい日本の風景、シュールな不思議な世界。
子どもたちに受けそうな愛くるしいサブキャラクター。
鳥、カエル、魚などのモブシーン。男前の女性キャラ。
素晴らしい久石譲の音楽。ダイナミックな疾走感と心躍る躍動感。
父親のダットサンの走行シーンなどなど。既視感を覚える。
宮崎アニメ総決算とも言ってもいいだろう。
第二次大戦下、母親の実家に疎開した多感期の少年が、
この世とあの世を冒険する。
しかし、枯れない想像力。
ふと小島信夫の『別れる理由』を読んでいたときの、
グルーブ感(うまい言葉が見つからない)と似ている。
監督がつくりたいものをつくった。
スタッフや配給会社がつくりたいものをつくらせた。
一切前宣伝をしなかった手法もうなづける。
だって広告で商品が売れる時代は残念ながら終わったのだから。