昨夜と今日の午前中で『ブランドのデザイン』川島蓉子著を読む。
たまには、本業関係の本も紹介しないと。きれいなブックデザインにひかれた。
サントリー「伊右衛門」「ウーロン茶」、キユーピーマヨネーズ、資生堂、無印良品など日本の代表的なロングセラーブランドについて「企業への取材と、デザインを手がけるクリエイターへの取材の双方を行い」、まとめられてある。
この手の本は、カタカナの専門用語ばっかで、ふつうの人にはとっつきずらいことがままあるけれども、ひじょうに平明な内容でブランドを守りつつ、累積したブランド資産に、そこに甘んじることなく革新を試み、いかにしてそのブランド価値を古びることなく維持していくかがよくわかる。
掲載されていたキユーピーハーフシリーズ広告にはぶったまげた。カロリーハーフの商品を使う人の心象風景を一枚のグラフィックに切り取って見せている。秋山晶のコピーライティングと服部一成のアートディレクションのまさにコラボレーション。素晴らしいマリアージュ。
最もはっとしたコメント。資生堂宣伝部デザイン制作室長山形季央氏のインタビュー一部引用。
「他社と違いを出す、競合ブランドと差別化する、そこに必死になってしまうとチープなものになってしまう。それよりは、自分自身の有り様をしっかりと見つめてデザインしていくことこそが大事」
企画書に差別化だの優位性とか判で押したように書いていた人は猛省。あ、ぼくか。
「時代から素直に見える変化が重要。創業時のシンプルな精神にもどって花椿マークの似合う会社であること。そこに根ざしたデザインであることこそを問うべき」
名言ではなかろうか。プレゼンテーションの前説でパクって使うのもいいな。