『明け方の猫』を夕方に読む

 

 

連絡待ちの間に、こっそり、中学生が友だちから借りたエロ本を読むように
『明け方の猫』保坂和志著を読む。なんで。わからん。

 

『明け方の猫』は、猫に変身した男の話。いかようにも書けるはずが、きわめて猫の生態にならってリアリズムを追求している。たとえば爪とぎは、そんなに気持ちのいいものなのか。と、いちいち想像してみた。

 

猫アングルという低い視点からの眺めは、どうなんだろう。スマートホンやデジタルビデオカメラで腹ばいになって試しに動画撮影したら、痴漢と間違えられるかもしれない。

 

もう一作品が『揺籃』。幻のデビュー作だそうだ。冒頭にバタイユの『呪われた部分』が引用されている。内容は、かなりエロティック。思春期の少年の性への目覚めが描かれており、特に身近な異性として姉の存在が、エッチなフランス青春映画モードって感じ。

 

一般的な保坂小説のイメージとは随分、作風が異なっている。でも、あり!だなと思う。

作者は感性という手持ちカメラで、対象を追尾している。でもパンやチルトはゆっくりでお願いしたい。激しいと見ていて目が回りそうになるから。

 

単行本のカバーの猫のシルエットの写真がいいなと思ったら、作者自身が撮影したものだった。

 

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