詩人が平積みしたい93冊の本―あなたの二十世紀書店には、どんな本が並んでいますか

 

 

『定本 私の二十世紀書店』長田弘著を読む。


以前、読んだことがあると思ったら、本作は随分前に中公新書から刊行されていた(あとがきによると1982年)。改めてみすず書房版を読んでみると、前回読んだ時とは異なった発見や感動があった。マヤコフスキーではロシア構成主義ブレヒト三文オペラ』、ゼルダフィッツジェラルド『こわれる』、リチャード・ブローティガン『西瓜糖の日々』(そのうちレビューしたい)など、いろいろな作家や本を思い出させてくれた。

 

本作は、詩人である著者が、「自由な開かれた街の書店で出会った」二十世紀の本を選び、93篇の書評に編纂(へんさん)したものである。「いま」的に言えば、コンピレーション、V.A.である。並んでいる本は、詩人の目に適ったもので、範疇は、バラエティに富んでいる。決して平易なものばかりではない。恥ずかしながら未読の本がかなりある。

 

しかし、どの書評も読み口は、さらりとしている。肩肘張らずに、読める。良い書評とは取り上げられた本をすぐさま、読みたくさせるもので、「実物より面白い書評」(『本は寝ころんで』小林信彦著/北上次郎氏の解説より)が理想の書評なのではないだろうか。ここに載っているものは、かなりそれに近い。

 

入るまでは、軒が高そうな気がするが、いざ入って、馴染みになれば、とても居心地の良い書店もしくは古書店を想像させる。そこには、意外な掘り出し物があるかもしれない。残念ながら、そんな刺激的な街の書店は、少なくなってきているが。

 

あなたの二十世紀書店には、どんな本が並んでいますか。
あなたの二十世紀書店には、どんな本を並べますか。

 

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