『ネットワーク・エフェクト マーダーボット・ダイアリー』マーサ・ウェルズ著 中原尚哉訳を読む。
人型警備ユニットの弊機が活躍するマーダーボット・ダイアリーの2作目。
弊機はプリザーベーション連合評議会議長メンサ―博士から受けた恩義を返そうと
博士の娘アメナらの惑星調査チームの警備員として同行する。
弊機がいくところ、アクシデントあり。
惑星調査の復路で身元不明の調査船に襲われる。
弊機の方が人間よりも性能は優れているわけで、
盾となって損傷を負いながらも、チームのメンバーをガードする。
でも、犬のように、けなげではない。
内心、ぶつぶつ愚痴りながら。このへんが、たまらない。
映画『ダイ・ハード』のジョン・マクレーン警部補のようにタフガイぶりを発揮する。
愚痴るロボットってぱっと思いつくのは『スター・ウォーズ』のC-3POだけど。
かつて思わぬ殺人事件を起こしたが、それがトラウマになったのか。
その記憶は消去されたはずなのだが、かすかに記憶しているらしいのだ。
人間嫌いつーか人間不信。
こうなったのはオーバーホウルした際、弊機にバグが生じたのか、勝手に進化したのか。
身元不明の調査船って実はART(ASSHOLE RESEARCH TRANSPORT)ことペリヘリオン号だった。なぜ。ARTは弊機に対してツンデレだったが。実は…。
前作同様、弊機とARTのやりとりが絶妙。
ワームホールや異星文明遺跡、宇宙コロニー、縦横無尽未に飛び交うドローンなどが
SF味をより濃縮にしている。
さらに弊機の複製(マーダーボット2.0)が現われ、2機で対策を練ったり、
警備ユニット3号が登場しての派手なドンパチシーン。
本作も翻訳のうまさが随所に光る。
たとえば
「あとはシャットダウンして、面倒や苦痛はなにもかもスキップしたかったのですが、
そうは修理屋が許しませんでした」
とか。