少年老い易く詩有りがたし

 

 

『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』
斉藤倫著 高野文子画を読む。

 

いまや読む人よりも書く人のほうが多いといわれる詩。
俳句や短歌もそうか。

 

詩とか現代詩と聞くと難しい、わからないと遠慮されるようになったのは、
いつ頃からなのだろう。

 

この本は、子ども向けの詩の入門書なのだが、解説や註釈の類はなく、
作者と思われる「ぼく」と小学生の「きみ」との対話形式で進む。
「ぼく」がランダムに詩を取り上げて「きみ」と感想を話し合う。
詩についての素朴な疑問などにも答える。

 

1.ことばのじゆう 2.いみなくない? 3.こころの、あと 4.いみの、手まえで 5.くりかえし、くりかえし 6.オノマトペのよる 7.きせつは、めぐらないで 8.ことばなきもの 9.ほんとのこと? 10.そして、ほんとうのこと

 

という章立てごとに各詩が2篇。計20篇。そのバラツキが楽しい。
ぼくは11篇の詩の作者しか知らなかった。やっぱり新しい詩人はほとんど知らない。
でも、面白い。
あ、最果タヒとかは知っているけどね。ミーハーだから。

 

めざしを頭からまるごと食べるように読む。
まずはいろいろな詩を読んでみることだ。
表現の多彩さ、自由さを楽しむ。

 

最後の一文もあまりにも素敵なので引用する。つーか、詩じゃん。

 

「さあ、きょうは、どんな詩を読もうかな。
きみと、ぼくは。
えいえんに、ながい、もうすこしのあいだ。」

 

ランボーの詩のフレーズを彷彿とさせるが。

「少年老い易く学成り難し」をもじって
「少年老い易く詩有りがたし」。

これを結びの言葉に。

 

詩を久しぶりに読んでみたいが、どう読めば、何を読めばいい。
そんな大人にも、うってつけの一冊。

 

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