人形の yeah!(イエー)

人形 (ポーランド文学古典叢書)

人形 (ポーランド文学古典叢書)


エスプレッソ用のコーヒー粉を
近所のスーパーマーケットで売っていなかった場合は、
アイスコーヒー用の粉で代用しよう。
朝、ペーパーフィルターでアイスコーヒー用の粉で
ホットを淹れる。時間が経ってから氷を入れたマグカップに
残りのアイスコーヒーを注ぐ。

『人形』ボレスワフ・プルス著 関口時正訳をやっと読んだ。
人形の yeah!(イエー)といっても弘田三枝子じゃない。
サンシャイン池崎でもない。

主人公はポーランドワルシャワにある高級雑貨店の経営者。
新しい商売にも手を広げるやり手の実業家。
落ちぶれた貴族の令嬢に惚れる。
人形のように美女ゆえライヴァルも多い。
没落したとはいえ貴族。
それが商売人の妻になるのは、この時代、厳しい。

元が新聞の連載小説だから
恋の顛末も山あり谷あり。
すんなりとうまくはいかせない。
読者をはらはら、やきもきさせなきゃ。

当時も貴族のゴシップネタは
庶民の好物だったのだろう。

没落貴族や貴族の夫人という玉の輿にのった金持ちの娘、
海千山千の商売仲間、商売敵。
やはり商売上手なユダヤ人をやっかみからなのか
ユダヤムードが起こる。
サブストーリーがいい意味で小説の世界をひろげている。

主人公が花の都パリを訪れる。
観光じゃなくて商談。
最先端をいっていた当時のパリの描写がいきいきしている。
ポーランドワルシャワから来たんだもの
おのぼりさんもいいとこだろね。

時おり挿入される「老店員の忘備録」が、にくい。
家政婦や黒猫ばかりが見るのではなくて
老店員も負けずに見る。で、メモる。

恋の行方は。気になる人は読んでみて。

随分前に藤原書店から刊行された新訳(確かの)バルザック全集を読んだ。
やはり最初はなじめなかったが、なれるとページをめくるのが楽しくなった。
それとひけを取らない豊かな小説。
違うか。大友克洋の漫画と同じで情報量がやたらに多い小説。
パリの話にもたぶん情報がたっぷり。
こっちかな。

訳者の解説によると
この小説がポーランドの小説のデファクトスタンダードになったそうだ。
そういう文学史的価値でありがたがられているものは、
肝心の中身が古かったり、つまんなかったりするものが多いのだが、
この作品は違った。

 

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