アガサ・クリスティーは名探偵の登場しない短編から読むことにする

 

 

洋の東西を問わず、行き当たりばったりでミステリーを読んでいる。
子どものとき、夢中になって読んだ名探偵ホームズや怪盗アルセーヌ・ルパンも
これから暇に任せて読み直ししようと思っている。

 

ふと、気がついた。
そう言えば、アガサ・クリスティー、ほとんど読んでいない。
なんでだろ。

どうせ読むなら、名探偵の登場しない短編集にしようと。
で、『リスタデール卿の謎』アガサ・クリスティー著 田村隆一訳を読んだ。
田村隆一ってあの田村隆一。新訳は必要ないのか。

イヤミス風、ラブコメ風、多彩。

以下短いあらすじと感想を。

 

『リスタデール卿の謎』
家の没落を嘆くセント・ヴィンセント夫人。娘とも口論しがちになるのは生活苦ゆえ。
新聞で格安の賃貸物件を見つける。下見をして気に入るが、いまいる執事とコックとメイドを雇わないといけない。持ち主はリスタデール卿。「西アフリカにいる」とのこと。もしかしたら殺されているかも。いぶかしがる息子・ルパートがリスタデール卿について調べる。すると。ハッピーな結末は安直かもしれないが、あり。

 

ナイチンゲール荘』
「母の看病と速記者」で結婚できなかったアリクス。ところが、遠縁から莫大な遺産が入った。長年つきあった恋人・ディックがいたが、ジェラルドに一目ぼれ、結婚する。夫が見つけた『ナイチンゲール荘』。遺産から購入する。アリクスが夫の不審な行動に気がつく。いきなり結婚したものだから、彼の素性を良く知らなかった。夫の手紙や書類など私物を探る。新聞の切り抜きがあった。「詐欺師で重婚者」「妻殺しの嫌疑」の男の裁判の記事。その男はジェラルドだった。危機迫るアリクス。だが。紳士の仮面をつけた淑女の仮面をつけた狐と狸の化かし合い。別名『夜鶯荘』として知られる。

 

『車中の娘』
後見人だった叔父から勘当されたジョージ。気分転換にと旅に出る。呑気なもんだ。列車に乗っていると客室に娘が飛び込んでくる。懇願され、かくまうことに。発音にどこかなまりがある彼女の英語。エリザベスと名乗る彼女から小荷物を預かる。宿泊先のホテルで二人組の男に声をかけられる。彼女は何者。小包の中身は。

 

『六ペンスのうた』
引退したサー・エドワード・パリサー。かつては、刑事弁護士として辣腕をふるっていた。ある女性から相談の依頼を受ける。彼女・マグダレンには彼女が子どもの頃会っていた。用件はマグダレンの叔母が殺された件。。現場には彼女を含めて親族が4人。この中に犯人がいる。サー・エドワードは親族に質問。犯人を突き止める。鍵は六ペンス銀貨だった。ああ、この快感は「犯罪関係の書物」を何冊読んでも得られない。

 

エドワード・ロビンソンは男なのだ』
エドワード・ロビンソンにはモードという恋人がいた。彼女は堅実派でムダ遣いを嫌っていた。デートで映画に誘ったときも、せっかく最上席を奮発したのに勿体ないと。エドワードは雑誌の懸賞でなんと500ポンドを獲得した。ちょっとためらったがほしかった最新型のスポーツカーを購入した。クリスマス・イブに郊外まで試運転がてらのドライブへ。冷えた夜、ポケットからマフラーを出そうとしたらなかった。代わりに大粒のダイアモンドのネックレスが。彼は車を停め外へ出たが、戻って似た車に間違えて乗ってしまった。持ち主は。このスリリングな体験を経て彼は車を買ったことや出来事を話してモードにポロポーズする。当惑気味の彼女。

 

『事故』
エヴァンズは元警部。お隣のメロウディーン家の夫人。見覚えがある。実は、ヒ素を用いた殺人事件の容疑者とされたが裁判で無罪となった女性だった。彼はお隣にそれとなく探りを入れる。妻が受取人の生命保険に入ったという。エヴァンズはメロウディーン夫人と二人きりになる。お茶をすすめられる。先に飲むように言う。彼女は飲んだがなんともない。次に飲む彼。し、しまった。文字通りの毒婦。

 

『ジェインの求職』
失業したジェイン嬢。貯えも底が尽く寸前。我ながら美人で才媛。なのに、求人は誰でもできる安いギャランティーの仕事しかない。と思ったら高額なギャラの仕事を発見。条件にぴったりだわ!ほんとは、ヤバい仕事なのに。金に釣られたジェイン嬢。

 

『日曜日にはくだものを』
ドロシーを乗せて車で出かけたエドワード。途中、くだものかごを買う。小川でひと休み。落ちていた新聞に「5万ポンドのルビーのネックレス紛失」の記事が。くだものを食べているとかごの底にルビーのネックレスが、まさか。取らぬ狸だったが。意外なオチ。

 

イーストウッド君の冒険』
原稿が書けない推理小説作家のイーストウッド君。次々とアイデアが浮かんでは消え、浮かんでは消え。こんなときに限って電話がかかる。知らない女性からだった。外国人のようだし。間違い電話かと思うが、「殺されるかも」と聞いては見過ごせない。出かけた彼は、二人の刑事に捕獲される。無事、放免となる。この騒動でモチベーションが上がったのか、小説の神様が彼に舞い降りたようだ。

 

『黄金の玉』
平日に休暇を取って雇い主である叔父に叱られたジョージ。落ち込んでいると真っ赤なオープンカーが停まる。セレブレディーのメアリーがドライブに誘う。彼女は自分にふさわしい伴侶を得るために、驚くべきテストを行っていた。バナナの皮というベタ中のベタなネタが使われている。

 

『ラジャのエメラルド』
ジェイムズとグレイス。二人は最初は彼が立場が上だった。最近ではすっかり逆転。キムトン海岸への避暑地に行くことになったが、グレイスはハイソなホテルでおしゃれな男性たちと。彼はいつものファッションで安宿泊まり。エンジョイするグレイス。エンジョイできないジェイムズ。海辺の着替え小屋で間違って他人のズボンを履いたら、ポケットにエメラルドが入っていた。警部から犯人扱いされるが、うまく切り抜けられる。それどころか、グレイスあこがれの貴族と懇意になる。


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