- 作者: パトリクオウジェドニーク,阿部賢一,篠原琢
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2014/08/21
- メディア: 単行本
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ことばのかたち マイナビブックス
『エウロペアナ』パトリク・オウジェドニーク著/阿部賢一、篠原琢訳を読んだ。
「20世紀のヨーロッパの歴史」を、短い断片で構成した小説。
『銃・病原菌・鉄』を書いたジャレド・ダイアモンドあたりなら、
上下2巻の大著になるだろう。
この本は、予想以上に薄い。
でも、薄っぺらではなく、
短い断片を読んでは、そこから実にいろんなことを考えさせる。
上下2巻の大著ぐらいに。
小説ゆえ数字やデータに関しては
学術書のように出典元はいちいち明記していないが、
作者の豊富な知識と
時折見せるシニカル、アイロニカルな批評には、
くすりとさせられる。
その歴史を俯瞰する視点は、
ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』にも通じるものがある。
マジで。
「ジェノサイド」と「バービー人形」と「使い捨て文化」を
同時に扱っているのは、ユニークかつクール。
一か所引用。
「20世紀の大いなる失望は、義務教育や技術革新や教養や文化のおかげで人間がより優れ、より人間的になるはずだと19世紀に期待されたことが実現しなかった点にある」
20世紀よりも21世紀の方が失望がより大きいんじゃない、
いまんところ。
訳者あとがきで知ったが、「作者がプラハに生まれ」、
「チェコとフランス、相互の翻訳を通じて」
文化の懸け橋役をしていたことも
この本を書く動機になったのだろう。
「失望したくなければ、期待しないことだ」
これは、かの大瀧詠一の名言。
アルバムが発売延期になったとき、
ラジオ番組『GO! GO! NIAGARA』で、のたまわれた。