やっぱり猫が好き

猫ヲ祭ル

猫ヲ祭ル


明け方、激しく降る雨音で早朝、目が覚める。
12月の嵐か。
枕元のスタンドを点け『猫ヲ祭ル』千田佳代著を読む。
J-waveをつけるとアントニオ・カルロス・ジョビン特集。
主人公は定年退職した老婆。
生まれが昭和一桁ゆえ−ぼくの母よりちょっと年下か−
婿不足で職業婦人のまま、
シングルライフで現在に至る。
かつて恋人はいたようだが、結局、添い遂げられず、
恋人は亡くなった。
西荻窪の叔母の家から近所のアパートそして
座間市相武台のアパートに移る間の
さまざまな猫たちとの出会いと別れを描いている。
西荻窪の叔母の家が朽ちかけた洋館。
庭木が繁茂している。


ぼくの家にも猫がいるが、もう立派な高齢猫だ。
子猫のときは無愛想のビクビクで、
どうやら彼女のヒエラルキーではぼくが一番上らしく、
逃げ回っていた。
猫も齢を重ねると、何だかおしゃべりになって厚かましくなる。
ほら、ろくにいいたいこともいえなかった若い娘が
中高年になると、堂々といいたいことを
機関銃のようにいうようになるのと似ている。


主人公は郷里が函館で「空襲の機銃掃射」により「右脚は人工股関節」。
晩年がまた座間で轟音を響かせて飛ぶ米軍の軍用機の描写が出て来る。
あくまでも淡々とした描写。
当の主人公は戦争の恨みよりも近所の猫の集会場を探す方に
躍起になっている。


読んでいて大島弓子の『グーグーだって猫である』や
金井美恵子の小説やエッセイに出て来る猫のシーンを思い浮かべた。
全体に流れているトーンはモダン。洒落たユーモア。
映画化するなら、荻上直子だろうな。


人気blogランキングへ