たぶん

文学拡張マニュアル ゼロ年代を超えるためのブックガイド

文学拡張マニュアル ゼロ年代を超えるためのブックガイド

たぶん来月、仕事がらみで
沖縄に行くことになりそうだ。


『文学拡張マニュアル』佐々木敦著を読む。
いつもながらの楽しいブックガイド。
この名ブックナヴィの案内で未知の作家と出会えるのは、うれしい。
著者は音楽・映画評論をはじめ書いており、
そのスタイルで文芸評論やレビューを書いている。
軽くポップでありながら、ツボは捉えている。
気になるところ、引用。

「文芸批評家よりも書評家の方が影響力を持っていくのも、
高みから論をはる音楽評論家よりも
最新情報を押さえたレビュアーの方が好まれるということに似ています。
そこにはもちろん良い面もあるのだけれど、
その背景には音楽や文学の受け手が、読者やリスナーであるという
以上に、消費者=買い手である、という意識が強くなっていることがある。
つまりすべてがマーケットの論理に吸い込まれていってしまっている。
しかもそれは、どんどんマーケット自体が縮小しているという事実と
表裏一体なので、なんとも複雑な気持ちになってくるのです」

新聞の文芸欄よりもブロガーなどオンラインのインフルエンサー
書店員の手書きPOPの方が効くということか。
「マーケットの論理」の字面を見てブックオフを想像した。
あ、別に批判じゃなくって。

ゼロ年代に入ってから、むしろ独立系の小さな出版社は
増えているんじゃないかと思うんですが、これは音楽業界で
インディレーベルが増えているのと似ています。−略−
今はまだ僕は現在の状況をそれほど悲観はしていなくて、
−略−寧ろこれからはチャンスなのではないか?とさえ思っている
節もあるのですけれど、でも今後もっともっと経済全体が
落ち込んでいくとなると、ミニマルな方法論でさえ
成立できなくなってしまうかもしれない」

所帯がでかくなって自転車操業的に二番煎じ、三番煎じの本を
粗製濫造している大手出版社に創業当時に戻れというのは、
ナンセンスな精神論だと思うけど。


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