Sex,Cult,Literature

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

村上春樹の『1Q84』のエントリーの続きを、とりとめもなく。


2つの月が、ねじれというのか、この小説の世界観を
象徴的に表現しているのか。
みんな大好きなミステリーフレーバー。


にしても、セックスだ。
当時は出会い系サイトやSNSなんてなかった。
みんなどうしていたんだろう。
合コンやディスコやバーでのナンパあたりか。
過剰と思えるセックス描写をカットしたら、どうなる。
成立しないだろう。
性的シーンや肉体の克明な描写はリアリティを与える。
それに引き換え神経症気味なハート。


にしても、カルトだ。
ひと昔前の企画書なら「モノ」から「心」へ。と書いていたところ。
カルトはイヤだけど、スピリチュアルなものには惹かれるとか。
たどればおんなじなんだけど。
政治や経済に期待できない。未来は不安、不透明。
既存の宗教は、坊主丸儲け的だし。
貧困や病気がかつての新興宗教の入信動機だったらしいが、
いまは、よりどころ、存在場所なのだろう。
少人数で選民意識をくすぐられるような、
秘密結社としての信者以外には閉ざされた空間。
キリスト教だってできたばっかは、カルトだったわけだし。


にしても、文学だ。
未来を暗示するメタフィクションの小説が、
美少女が作者なのだが、ぼくにはどうも面白くなかった。
チームで新人作家を売り出すというのは、あるんだろうね。
セールスポイントがないとさ、売りにくい。
十代で作家とか、SM嬢で作家とか。商社の管理職で作家とか。


いい本だから売れるのではなく、売れるからいい本なのだろう。
エルサレム賞」授賞での作者の英語のスピーチや
ノーベル文学賞候補の常連というのも、
作者の本を読んだことのない層へのPRになったのだろう。
このご時世に200万部以上も売れるとは、悪いことじゃない。


細部を突っ込めば、キリがないし、
終わり方も不親切と言えばそうだろう。
でも、飽きさせることなく読ませるんだから。
相変わらず魅力的な文体だし。
総決算的な作品といっていいと思うが、
どこか自分で自分をなぞらえているような気もする。


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