読めばいいと作者は言う

夜戦と永遠 フーコー・ラカン・ルジャンドル

夜戦と永遠 フーコー・ラカン・ルジャンドル


『夜戦と永遠』佐々木中著 読書メモに入る前に。


『夜戦と永遠』佐々木中氏インタビューより引用一ヵ所。

「『夜戦と永遠』もその点では幸運でした。専門家でも何でもない人たちが
楽々と読み切って面白がってくれている。
二十歳前後の若い友人たちから早速楽しく読んだと連絡をもらったりね。
一方で、ある大学の教師から「質量ともに、この本は読者の能力を無限に
高く見積もった本だ。そんな本を一般の人は読めるのか」と聞かれたこともありました。
読めます。ラカンやフーコーをまったく知らなくても読める。
そもそも読者の能力を低く見積もって、
「わからないだろうからやさしく書いてやろう」というのはファルス的な態度です。
読者を見下して馬鹿にしている。そんな書き方がいつも許されるわけがない。
たとえば大江健三郎の『ピンチランナー調書』を読むのに何か入門書が必要ですか? 
古井由吉の『眉雨』を読むのに? 
無造作に掴みかかるように読めばいい。それだけの話です。」

面白い。気鋭と言われる人は、このくらい鼻っ柱が強くないとね。
予備知識なくとも読めるのか。読めるだろう。
わかるとこだけ、首肯できるとこだけ、共感できるとこだけ、
飛ばし読みすればいい。
って、こりゃ、英語のリーディング力をつけるために、
好きなペーパーバックを読むのと同じ方法かもしれない。
ともかく読み切る。で、もう一度読んでみる。
初読では見えなかったものが、見えてくる。
誤読かもしれない。でも、それはそれでいいだろう。
読み方に正解はない。入試問題じゃあるまいし。
泳げないのに、いきなりプールに飛び込むようなものだと
言われるかもしれない。


詭弁かもしれないが、「難しい」と「わからない」は違う。
『夜戦と永遠』は難しい(やさしくはない)が、わからなくはない。
読んでてあるパラグラフになると光が射し込んできたし(ウソ)。
気がつかなかったことを露わにしてくれた。
入門書好きのぼくとしては、でも、類書や入門書をある程度
読まないとなあとも思う。矛盾してるが。


ぼくは、この本で取り上げられている
ラカンは少々、フーコーはそこそこ知っているが、
ルジャンドルはまったく知らなかった。
で、図書館からルジャンドルの『真理の帝国』を借りて
はじめの方を読んでみたが、佐々木中の文章よか読みやすい。
あれれ。