思想とはメガネである

『フランス現代思想史』岡本裕一朗著を読んだ。
隆盛を極めたおフランスの哲学・思想関係が昨今、ぱっとしない。
新しモノ好きの日本人は、
次々とフランス思想を輸入してきた。
ワインとモードと哲学はフランスに限ると。
でも、思想はそういうものではないだろう。
でも、新しいものというか流行のものを
ありがたがっていないだろうか。

古くはカミュブランドからサルトルブランドへ。
そこから

レヴィ=ストロースラカン、バルト、
フーコードゥルーズ=ガタリデリダ

へと変遷してきたが、どうも、
ぼくたちは、関連性を見ることよりも
著作にいきなり当って、大抵は玉砕という
テキスト主義者になりがちだ。

じゃなくて、まず、
実存哲学→構造主義→ポスト構造主義
流れを知ることが大切だと。
前任者を肯定するのも、否定するのも、
言うなればどちらも影響されているわけだから。
とてもよくまとまっているので、
あんちょこ代わりに使える。
あんちょこって分からない?
ケンサクして。

マイナンバー制度が導入されるようだが、
国民は国家に一元管理され、
それこそベンサムが考案して
フーコーにより広く知られることとなった
パノプティコンが実現する。
見える化、見えない化を巧妙に使い分け…
でもなあ、情報漏えいは完全には防げないだろうな。

作者は言う。

 

「哲学とは概念の創造」

だと。
広告関係者おなじみのタームで言うと
「コンセプトメーキング」。
概念を作者は

 


「思想のメガネ」

 

と述べている。チャーミングな比喩。
そのメガネをつければ、

 

「世界の見え方が変わる」

と。さらに

 

「どの「思想のメガネ」を選ぶかは、自分次第では
ないだろうか。相性と、生き方と、スタイルを
考えて、それぞれ自分に合った「思想のメガネ」を
選ぶことになるだろう」

この本は、さしづめ「思想のメガネ」カタログ、パンフレットと
言っても構わないだろう。


最後に紹介されている
ベルナール・スティグレールが気になる。

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