- 作者: ジェラルド M.エーデルマン,冬樹純子,豊嶋良一,小山毅,高畑圭輔
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 単行本
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『脳は空より広いか』ジェラルド・M・エーデルマン著、読了。
読みながら、視界が開けたり、もやもやしたり、
こんな風にシゲキを与えてくれるのは、良い本の証し。
「思考には二つの主要なモードがあると述べてきた。一つは論理的思考、
もう一つは選択主義的思考(パターン認識)である。両方とも強い味方だが、
クリエイティブ発想へと導いてくれるのはパターン認識のほうである」
脳は「言語を獲得する前から、パターン認識によって−略−機能している」
そうだ。なんかさ、ふだんの生活だと、論理的思考のほうがパターン認識よか
いいように思われるけど。
「論理モードのほうは、コンピュータに組み込んでやれば
定理を証明することはできるが、どれが公理で、どれが公理でないかの
選択はできない。だが−略−論理的思考は重要な役目を担っている。
あふれんばかりにパターンを生み出してくるパターン認識の行き過ぎを
“いさめる”という役である」
論理的思考はわがままなパターン認識の忠実な下僕なわけだとか。
結びの言として今後いくら素晴らしいA.I.のようなものがつくられたとしても
「人間のもっている意識が再生されることはない」と。
ロボット工学が盛んになって改めて、人間が工学的に(違うかも)優れているかが
わかったし。
「「私という現象」はこれからも変わることなく、自然からの最高の
授かり物であるにちがいない」
いみじくも、宮澤賢治みたいなことをいっている。
「私という現象は有機交流電灯のひとつの青い照明です」(「春と修羅・序」より)。
アニメ版『銀河鉄道の夜』の終わりにこの部分が引用されて鳥肌が立った。
でもなんだか救われる文章。さすが「ノーベル医学・生理学賞」受賞者。
パターン認識 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』