「武田シンポジウム2010」。
テーマ「脳と社会」の引用とメモ。
忘れていたが、ここ最近の脳に関する研究はめざましい成果があるそうだ。
ぼくたちが脳について学んだことがガラっと変わってしまうことだって大いに考えられる。
講演3
「脳研究と社会科学」
北海道大学大学院文学研究科教授 山岸俊男
○「人間は、他の動物たちに比べ相対的に大きな脳を持っている。
人間の脳は、大きいだけでなく大量のエネルギーを消費する。
体重の2%、エネルギー消費量の20-25%。
何のために、こんなにエネルギーを消費する臓器を進化させたのか」
○「人間の脳、特に新皮質は、大きな集団を作って生活するために
進化した」
確かモリスの『裸のサル』だったと思うが、
ウマのようにヒトは生まれてすぐに立ったり、歩いたりしないのは、
脳が重たいこともあるし、脳の成長にもあわせているのだろう。
○「人文学とは人間が作り出した“お話し”
社会科学は人間が作り出した“しがらみ”」
○「しがらみとは制度のことで、行動を縛りあっている
状態のこと、インセンティブ」
インセンティブからモースの贈与論、バタイユのポトラッチあたりを
うまく関連付ければ結構いい論考になるのではないだろうか。
○「行動の外部性の蓄積が制度を生み出す」
○「20世紀の社会科学は、−略−人間は白紙の心を持って生まれてくるという
「神話」のために、発展を阻害されてきた」
修辞としてならわからないでもないが。
○「社会科学は、人間性と人間の意思決定に関する科学的な基盤を自らのうちに
取り入れる必要がある。−略−そのために、脳科学者と協働する」
演者はそれを「ニューロ社会科学」と称している。
社会科学は、社会学はもちろん広範な学問を包含しているそうだ。
専門性より総合性。