あれかこれか

先日エントリーしていた大竹文雄の『経済学的思考のセンス』を読了。
以下、心にひっかかったところを。


成果主義か非成果主義か

成果主義的な賃金制度が導入された場合には、同時に権限委譲や能力開発の機会を増やさ
ないと労働意欲が高まらないことを明らかにした。中部地方の企業の労働者にアンケート
し、過去三年間で自分の仕事がどのように変わったか、その企業で成果主義的な賃金制度
が導入された否かを調べた。その結果によれば、成果主義的な賃金制度を導入した企業の
65%は、自分の裁量に任される範囲が広まったと認識しているが、導入されていない企業
の従業員でその認識をもっているものは58%であり、両社には統計的に意味のある差が確
認できる。

不確実性が高い職場で成果主義的な賃金制度が採用されるのは、リスクとインセンティブ
トレードオフという経済学の基本原理に反しているようにみえる。リスクを嫌う労働者
は、リスクが高い職場ほど固定給を好むはずだからである。

昨今導入されている「成果主義」ってなんだか経営側の都合のいいように解釈されている気がするんだけど。
成果主義だろうが、そうでなかろうと、評価や給料なんてみんな納得するなんてことはない。
作者が述べているように成果主義は合う職場と合わない職場がある。
部品的に社員を扱う業種の会社なら、壊れたり、旧くなったら、交換するぐらいの考えだろうし。
「あなたは何ができますか」と尋ねられ「管理職ができます」と堂々と答えるオヤジってまだいるんだろうね。


公的年金は「ねずみ講」なのか?


前にも誰かが公的年金のことをこう称していたが、ま、親に近ければ近いほど儲かる(掛金の総額より高利)し、
子や孫になればなるほど、儲からない。それどろか、ひ孫ぐらいになれば、赤字になってしまうかも。
確証のないつーかローリスク・ハイリターンからローリスク(フリーターにとっちゃローじゃないが)・ゼロサムリターン
もしくはノーリターンだと、ノータリン公的年金制度で、「ねずみ講」と若者が不信に思うのさもありなん。
逆親ガメの背中に子ガメをのせて、だ。子ガメ、孫ガメこけたら、みなこけたって。


あと、目からウロコだったのは、

所得の平等か機会の均等か
という章。
ひょっとしてこのことをごっちゃにして考えていないだろうか。
これはイコールではないんだけど。

機会の不平等か階層が固定的な社会を前提として所得の平等主義を進めるべきなのか、
機会均等を目指して所得の不平等そのものをそれほど気にしない社会を目指すべきなのか、
我々は真剣に考えるべき時期にいる。

前者ってなんか共産主義っぽくねえ?そんなことはありえねえとも思うし。
まずは同じスタートライン、チャンスを与える。
そっから先は、それこそほんとうの自助努力ってやつで。