モリガールとヤバガール

 

 なんだか街も電車も人も増えているような気がする。

生存のための、喰っていくための見切り発車なのか。
律義にマスク姿で走っている人を見る。酸欠にならないのかな。

『「盛り」の誕生 女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識』久保友香著を読む。
つーか読んでからかなり日にちがたってしまった。
日本の女の子たちがいかにして盛りを楽しむようになったのか。
その歴史と背景にあるものを作者自身の個人的体験、私史をまじえながら考察したもの。
 
つけまつげ、カラーコンタクト、日焼けサロン、ポケベル、ルーズソックス、
いわゆるチーマー、渋谷109、で「1995年にプリクラ機が発売」される。
この頃、松濤に会社があったから、毎日、アムラーだの、ヤマンバギャルを見ていた。
プリクラは世界的にヒットしたそうだが、

「日本の女の子たちがプリクラで目指す顔は、絶対的な良い顔ではありません」

 


意外。

「彼女たちが目指すのは、彼女たちが所属するコミュニティの基準に基づく、相対的な良い顔である」

 

「ウケル~」ってヤツか。「KY」とか横並び志向。
 

ナチュラルなビジュアルに執着しない日本の女の子たちが、バーチャル空間上のビジュアルを、所属するコミュニティの基準に従って相対的に作る行動が「盛り」である。「盛り」はコミュニティとの関係で行なわれるものである」

 なんとなくわかる。女の子たちに人気のあるタレントやアイドルって絶対的美人は

さほどいないものね。

「バーチャル空間上のビジュアルと、リアル空間上のビジュアルとの間に、ズレがあってもよいと肯定した。そしてそのズレを「盛り」と呼んだ」

 ズレを楽しむ。それが「カワイイ」「ヤバい」ってことになるのか。

男性ならパケ写(パッケージ写真)で選んだエロDVDが、いざ映像になってズレがあったら怒るけどね。
フウゾクでパネマジ(パネルマジック)にひっかかて別人が現れてもも怒るけどね。
 
インスタ映え」の「映え」と「モリ」は、同義語なのだろうか。
作者はこう述べている。
「インスタグラムでの女の子たちによるシーンの「盛り」は、「非日常性」を高める方向だと考えられる」
「(そうすることで)大人や男性に「容易に近寄らせない」仕掛けを作ることができている」

 女の子たちの聖域、サンクチュアリ。ゆえにインスタは人気だと。

「盛り」は、国境や人種の垣根をらくらくと乗り越えていく。ってことらしい。