重たい

「悪いこと」したら、どうなるの? (よりみちパン!セ 33)

「悪いこと」したら、どうなるの? (よりみちパン!セ 33)


連休中の昼間は、ずっと『聖家族』古川日出男著を読む。
部厚いが、飽きさせななかった。小説、まだやれるじゃん。と、思わせる一冊。
そのうち感想をアップする予定。


『「悪いこと」したら、どうなるの?』藤井誠二著 漫画 武富健治、読了。
少年犯罪や少年法を一貫して追い求めている作者が、ティーン向けに書いたもの。
鈴木先生』の作者である武冨健治がカットでも描いているのかなと思ったら、
冒頭に、書き下ろし短編漫画が掲載されている。
『「悪いこと」したら、どうなるの?』の再現漫画となっている。
短編だが、内容はかなり重たい。殺人を犯した少年の少年院での日々、
その加害者及び被害者の家族の環境の変化、引っ越し先でひっそりと暮らしているのに
近隣の人に取材の際、過去の事件を明かしてしまう一分のマスコミなど…。
その後からはじまる藤井の文章の理解の有効なヘルプとなっている。


少年法も徐々にではあるが被害者家族を考慮して改正されつつはあるが、
改めて感じるのは、少年犯罪の被害者、被害者家族がやられ損、殺され損ということ。
少年院もシステマチックに運営され、大量更正者(名目上の)生産工場のような印象は拭えないが。
単純に罰を受ければ罪を償うことになるのか。リセット、チャラにはならないだろう。
本人の問題もあるが、そうさせてしまった家庭環境もあるわけで。
ただし、加害者-被害者は、紙一重とも思うし。
作者は、こう述べている。

「少年院の矯正教育のなかで、ぼくが思う、もっとも遅れているもの、
それが「贖罪教育」だ。「贖罪教育」とは、自分の犯した罪を「償う」ために
なにをすればいいのか、どのように生きていくべきかを考えさせる教育のことだ」

「そもそも、少年が犯した罪の犠牲になった被害者や遺族の現在やその心情を伝えていく、
ということじたいが、これまでの少年院にはほとんどなかったんです、と、ある
少年院の幹部がぼくに語ってくれたことがある」

欧米ならキリスト教が、この「贖罪教育」を行っているんだけど、
日本の場合はどうなんだろ。
この本によると、保護司がいるが、大抵がボランティアとは、知らなんだ。
ゆとり教育は、少年院にこそ必要なんじゃないかな。


武富健治は、漫画でドストエフスキーをしたいのだろう。
ナニワ金融道』で知られる青木雄二は、マルキシストを標榜していたが、
賞をもらった青木の短編を読んだことがあるが、タイトル失念、
確かにマルクスドストエフスキーぽかった。
社会派漫画という語感は、古くさいんで、何か新しいネーミングにすればと思う。


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