ダメオカンタービレ

情痴小説の研究 (ちくま文庫)

情痴小説の研究 (ちくま文庫)

やっと天気が良くなった。マッハ15のスピードで仕事。


『情痴小説の研究』北上次郎著を読む。
田山花袋から渡辺淳一まで多彩な作品を取り上げ、「情痴小説」について私的に探る。
その発端は。加齢になると臭いもきつくなるが、好みも変わる。
んでもって「情痴小説−略−ダメ男小説」がよくなってくると
作者は、「情痴小説の主人公の特徴 5条件」を挙げている。

「1.主体性に欠けること
 2.優柔不断であること
 3.反省癖があること
 4.自己弁護がうまいこと
 5.何事にも熱中しないこと」

いくつ該当するだろうか。ほとんど、マル。紛れもなくオレってダメ男じゃん。
だけど、情痴小説は女流作家もものしたわけで。
たとえば、林芙美子の『浮き雲』とか。
いまは情痴小説はウケない、売れないんだろうか。
藤沢周平だの、ひと昔前の『マディソン郡の橋』は、ウケている、ウケたけど。
花袋の『蒲団』を女子中高生に読ませて感想を聞きたいもんだ。
「キモセン」(キモイ先生)と4文字で終わってしまうかもしれない。
せめて遠距離通勤の間、擬似恋愛にオジサンが耽ってもいいだろう。
中高年男性のハーレクインロマンス。
ともかくダメ男っぷりが表現されてないと、いけないわけで。
オオトリの渡辺淳一センセイの『ひとひらの雪』に、
単なる「助平話にすぎない」と、手厳しいのも納得。

「分別があるにもかかわらず、すべてを投げ打って破滅に吸い込まれていく
ダメ男の姿を描くからこそ、情痴小説はなにものかでありうるのだ」

ひたむきな純愛至上主義者とストーカーの違いは。キリないや。


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