令和版『なんとなく、クリスタル』と思うのは、誤読なんだろうか

 

『オーバーヒート』千葉雅也著を読む。

 

日々のツイートが連なっていくと、小説になるのか。たぶん私小説だと思うんだけど。
哲学・現代思想からファッション、音楽、ゲイに関する言葉にこまめに注釈をつけると田中康夫の『なんとなく、クリスタル』になるな。

 

『オーバーヒート』
京都の大学の准教授となったため、東京から大阪へ移住した作者。見るもの、聞くものがすべてが新鮮。関西の魅力。たとえば阪急電車の小豆色の車体がその象徴に思えると。同性の年下の恋人の存在。実家の破産。両親。高校の同級生…。ホモセクシュアルそしてホモソーシャルな日常生活が忌憚なく表現されている。


ツイートを引用。
「同性愛はやはり「倒錯」である。異常と言ってもいい。生物は繁殖を目指すものだとすれば、やはり異常である。「普通」でなくた何が悪いか。異性愛にしてもいろんなケースがあり、その多様性も倒錯的である。異常な異性愛もある。みんな普通だ、ではない。みんな倒錯だ」

 

『マジックミラー』
個人的なことだが、最初に就職した広告制作会社が新宿2丁目にあった。今は亡き新宿厚生年金会館の手前。ゲイバーは数回上司に連れられて行ったことがある。ハッテン場の聖地だったといわれた新宿2丁目にそびえ立っていたラシントンパレス。うっすらと覚えている。ミシェル・フーコーの定宿だったということを後で知る。

新宿2丁目やハッテン場での出会いなど「僕」のイタセクスアリスが生々しく記されている。唐突だが、永井荷風の玉ノ井の赤線を描いた『墨東綺譚』、銀座のカフェの女給の生態を書いた『つゆのあとさき』が浮かんだ。

 

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