風呂敷を広げる

零號琴

零號琴


『零號琴』飛浩隆著を読む。
はてな、ちゃんと書名を変換するだろうか。
はじめ、もたもた。
中盤あたりから読むスピードが増して
デイパックに重たいこの本を入れて読み切った。

作者にとってはエンタメ系の作品らしいのだが、
いやはや。
広げた風呂敷の壮大なこと。
ワーグナーのオペラ「ニーベルングの指環」の如し。
惑星〈美縟〉で再建された巨大楽器〈美玉鐘〉により
秘曲〈零號琴〉が演奏される。
〈零號琴〉が流れる中、人々は仮面劇を演じる。
音楽と楽器と仮面劇。
壮大なギリシャ悲劇を未来に移植したのか。
でも、宝塚歌劇のようだし。
なんか百合系っぽさを感じるのは、誤読だろうか。
出て来るアニメーション「フリキア」シリーズって
プリキュア」だよね。
見てないからよくわからないが。
楽器もなんかフェチっぽくて。エロくて。
><BR><
そして最後が圧巻。
宇宙樹のような巨大樹木が復活して
近代的な建築物を駆逐する。
おーディストピア
そのために秘曲〈零號琴〉は演奏される運命にあったのだろう。

この手の話は大抵が英語、カタカナが多いが、
この作品はあくまでも漢字。
漢字で感じろ。ということか。
秘曲〈零號琴〉惑星〈美縟〉巨大楽器〈美玉鐘〉…。

その手のアニメーションに疎いぼくにも
世界は楽しめた。
カードキャプターさくら」の作者CLAMPあたりが
キャラクター化すると
マニアックなアニメーションになるかも。
作者の想像力を読者は自身の想像力で変換して読む。
小説でなければ書けない世界。という常套句があるが、
この本はそうだと断言できる。
はらたいらに全部!(byクイズダービー)。

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