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埋葬 (想像力の文学)

埋葬 (想像力の文学)

2月に送った電子書籍の追加原稿がようやくまとまり、昨日送る。
とりあえず本業は待ちで、領収書・レシートなどの整理をする。


『埋葬』横田創著を読む。
早川書房から刊行されている想像力の文学シリーズの一冊。
同シリーズはラインナップが魅力的で編集者の気合を感じる。
けど、部数はそんなに期待できないんだろうなあ。


モチーフは山口県で起きた母子殺人事件だと思うが。
フリーターの少年が犯人とされるが、なぜか夫が二人の死体を遺棄した。
なぜかは読んでのお楽しみ。
やがて夫の手記が『埋葬』というタイトルで発表される。
事件の核心、本当の犯人がどちらなのかをライターが追取材する。
実際死刑の判決が出て収監されている少年にも面会に行く。
母との関係は明らかになるが、最後まで真実は解明されることはない。
その「告白」の真偽がきわめて曖昧。
ウソで塗り固められた調書の方が、下手くそな真実を述べたものより
リアリティを感じてしまう。
特に動機など腑に落ちれば、納得してしまいがち。
だけど、動機とか起承転結のある事件って実際、少ないような気がする。
後付でそうなるような。
読んでいて頭がグルグルしてくる。
そう、デヴィッド・リンチの『ツインピークス』を思い出した。
カイル・マクラクラン扮するFBI特別捜査官の役目が、ライターだ。


今村夏子著の『こちらあみ子』が三島由紀夫賞 を受賞。「太宰治賞と2冠」。
その拙レビューはこっち


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