老いか成熟か

経済成長という病 (講談社現代新書)

経済成長という病 (講談社現代新書)

昨日は夕方、劇団黒テント『新装大回転玉手箱』の美術を
担当されている幸先生とキャロットタワー内の喫茶店でしばし歓談。
チケットを拝受。ありがとうございます。
劇団の持つ麻薬のような魅力の一端をうかがう。
その前に、楽器店でピックを買う。
ベース用とかよーわからんので厚さの異なる2枚。
子どもがバンドをはじめ、今度は渋谷のスタジオで練習とか。
いまのところ、オニ熱くなって練習している。


『経済成長という病』平川克美著を読む。
ズバズバビシビシの剛球ってとこ。
GMが崩壊したけど、GMばっかじゃなくて自動車産業
斜陽産業に向かう一里塚だったりして。
とかく人は未来永劫右肩上がりを信じて、
または途中でダウンしたらV字回復を信じたがるが。
それを作者は「病」と呼ぶ。


引用-1

グローバリズムとグローバル化とは違うのである。
グローバリズムの結果、世界がグローバル化してゆくのではない。
世界がグローバル化するのは、民主主義の発展や、科学技術の発展を
背景にした自然過程だが、グローバリズムはアメリカないしは、
その随伴国が、世界の富を収奪し、貧富を固定化するための
国家戦略だからである」

日本は、紛れもなく「随伴国」の一つだろう。

引用-2

自己責任論に関して。企業側と労働者側が平行線をたどるままだが、
作者はこう述べている。

「(企業が)利潤獲得のための利己的な行動と、労働者の利益が協同する
システムを見つけ出さなければならない。そして、そのためにも経営者も
労働者も、同じ企業社会という生態系の中で生きているという論理を
作り上げることができるかどうかが、いま問われている」

『昭和ブルース』の出だしの歌詞
「うまれた時が悪いのか それとも俺が悪いのか」
圧倒的に前者だろう。

引用-3

少子高齢化社会の日本は、もはや中高年期である。
それを「老い」とみなすのか、「成熟」とみなすのかで大違い。
なのに「アンチエージング」などに精を出すさまは、
「若さというものがつねに正しく、老いは退行で」あることの証明であると。
しかし、もう、いいだろう、若づくりは。
経済だってこの先、60年代のように跳ね上がることはないだろう。
昔の栄光を茶飲み(酒呑み)話にするんじゃなくて。

「なぜなら、国も私も十分に成熟したからであり、成熟こそ私たちが
若さと引き換えに得た、貴重で信ずるに足る資産だからである」


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