芝居を見に

昨晩、『メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス』を見てきた。
松本大洋作というので、斎藤晴彦がどのように演出するのか、
それと役者のキャラ設定や衣裳・舞台装置が楽しみだった。
結果、なかなのものでした。
うらぶれたドライブイン、そこにたむろするトラックドライバーと
亡くなった父親の跡をついで切り盛りしている若い女性と痴漢常習者の従業員。
そこにからむ女性D.J.。なんだ、文化放送でオンエアしていた「走れ!歌謡曲」か。


眩暈と困惑を誘う照明、音楽。
トラック無線でのやりとり。いい意味でのコケ脅し、ケレン味がたっぷり。
ここは、どこなんだろう。
現実と幻想、生と死が入れ子になって目まぐるしく転換する舞台。
どちらがほんとうなのか、そのうちわからなくなってくるほど。
まさしく無国籍、過去・現在・未来まで自在に自由に飛翔する松本大洋の世界そのもの。
とっちゃん坊やを演じていた客演のさとうこうじが、危うい強烈な演技を示していた。
ブリキの太鼓』のオスカルのように。
ネット検索したら、そうか映画『トキワ荘物語』で石ノ森章太郎を演じていたんだ。


神楽坂にあるシアターイワトの舞台は、ほんとに小さくて、狭い。
だからかぶりつきで芝居を見ることができる。
カッコつけりゃ身体性とかそいうものを共振できるわけだ。
黒テントのメッセージ性や広義でのエンタテイメント性は、
芝居の楽しさや芝居が何かしらのメッセージ性を伝えるのには、
まだ有効なんじゃないかとも思った。
それにしても折りたたみ椅子の上に置かれた芝居のチラシの量のすごいこと。


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