人でなしというが、人でなしは人間だし。
そして冒険旅行に出る。そんな大げさじゃないな。
時折、寂しさも感じた。
自然、人工。
賑わっている街、寂れた街。
地上の街、地下の街。
霊感が強い人が霊が見えるように。
老人には見える。病人もそうかも。
「病院長」には見えた。
猫や犬にも見えるらしい。
「人外もごろんとからだをよこたえ、だんだん濃くなってゆく闇のかなたに目をこらし、あたりを見まわしながら、平面だ、やっぱり平面なんだな、とかんがえていた。すべてが平面になってゆく、都市もコトバも、ニンゲンの文明それじたいも、あらがいようもなく、とかんがえ、残酷な
よろこびがからだのそこからひそかに湧きあがってくるのを感じた」
フラット化する社会。人間じゃないから、高みの見物と決め込んで
出て来る小説かと思ったが、違った。
小説家であり詩人でもある作者ならではの豊饒な日本語。
「人外(にんがい)」は、あなたやぼくの隣にいる。いてほしい。
でも、なかなか気がつかない。